折り畳みスマホ「Surface Duo 2」 2画面の威力を検証
日本マイクロソフトが2022年1月に発売した「Surface Duo 2」は、ディスプレーを2つ備えた2画面スマホだ。手帳のように折り畳め、広げれば2画面合わせてタブレットのように使える。5G対応で高い処理性能を持ち、OS(基本ソフト)には米グーグルのAndroidを搭載。このスマホはどんなユーザーに向いているのか、チェックしてみた。
2画面で作業効率アップ
Surface Duo 2は、5.8型の有機ELディスプレーを2つ搭載している。中央のヒンジで手帳のように折り畳める機構を備え、画面を折り畳むと5.8型のスマホに、広げると2画面合わせて8.3型のデジタル手帳のようになる。この機構を生かして、コンバーティブルタイプの2イン1パソコンのようにさまざまなスタイルで利用できるのが特徴だ。指でのタッチ操作の他、オプションの「Surface スリムペン2」を使ったペン入力もできる。
画面を開くと、2つの画面を合わせてタブレットのようにアプリを大きく見やすく表示できる。普通のスマホでは表示が細かくて見づらいパソコン用のWebサイトも、これなら見やすいサイズで表示できる。ヒンジの動きは滑らかで、狙った位置でぴたりと止められる。
1つのアプリの機能を2画面に分けて表示すると、作業効率のアップにつながる。例えばメールアプリなら、1つの画面にメール一覧、もう1つの画面にメール入力画面を表示できる。1画面しかないスマホより情報の一覧性が高いので、メールを探しやすいし、入力画面も広くなるので使い勝手が高まる。
このとき横向きにして、1つの画面にワープロや表計算アプリを表示し、もう1つの画面にキーボードを表示すると、小型ノートパソコンのようなスタイルで書類作成ができる。
マルチタスクで、ながら作業が快適に
2つの画面にそれぞれ異なるアプリを表示すると、パソコンのようなマルチタスク環境で作業ができ、作業効率がぐっと高まりそうだ。例えばWebブラウザーでWebサイトを見ながらOneNoteに手書きでメモを取ったり、メールアプリで取引先からのメールを見て住所を確認しながら、その場所を地図アプリで検索したりできる。
ビジネス用途だけでなく、例えば音楽配信アプリで音楽を聴きながらSNS(交流サイト)を利用する、動画配信アプリで動画を見ながらWebブラウザーでネットショッピングをするといった使い方も可能だ。1画面のスマホの画面分割機能で2つのアプリを並べて使う場合に比べ、スムーズに作業できる。画面の狭さからくるストレスもなく、非常に快適だ。"ながら作業"にはもってこいだろう。
やや不満なのは、電子書籍を表示したときだ。日本語で縦書きの小説を表示すると、中央のヒンジ部分にかかる部分が一部欠けたように表示されてしまう。構造上仕方がない面もあるが、折り曲げて畳める有機ELディスプレーを搭載した韓国サムスン電子の「Galaxy Z Fold3 5G」ではこうしたことは起こらない。ここはもう少しがんばってほしいところだ。
2画面スマホと聞くと大きく重いものを思い浮かべそうだが、重さは284グラムで、大きさの割に軽く感じられる。例えば米アップルの8.3型タブレット「iPad mini」は293グラムからで、それより若干軽い。折り畳むと横幅は92.1ミリでスマホとしてはかなり幅広だが、厚みがヒンジ部分で11ミリメートルと薄めなこともあり、片手でもしっかりつかめて持ちやすい。
ハイスペックで動作は軽快
プロセッサーは米クアルコムのSnapdragon 888、メインメモリーは8GB(ギガバイト)で、Androidスマホとしてはハイエンド寄りの高い処理性能を持つ。2つのアプリを同時に起動しても、動作が若干重くなる程度で、大きなストレスを感じることはなかった。
ストレージ容量は128/256/512GBの3種類ある。512GBのモデルはマイクロソフトストア限定で、既に完売となっている。モバイル通信機能は5G対応で、背面には広角、望遠、超広角の3つのレンズを使ったカメラを搭載する。
2画面でストレスフリーだが、価格は高い
Surface Duo 2は、通常の1画面しかないスマホで、画面の狭さや、アプリをいちいち切り替えて使うことにストレスを感じている人にとって魅力的な端末だ。マイクロソフトは、「Surface」ブランドの製品をプロダクティビティー(生産性)を向上させるツールと位置づけている。使ってみると、確かに1画面しかないスマホより作業効率が高まり、ストレスなく使えると感じられた。OSは自社のWindowsではなくグーグルのAndroidだが、生産性向上という目的のためならこうした他社のプラットフォームを採用することもあるということだろう。
ただし価格は高い。ストレージ容量128GBのモデルで18万4580円(税込み、以下同)前後からで、ハイエンドスマホ2台分の価格だ。サイズの近いタブレットの価格を見ると、例えば8.3型のiPad miniは5万9800円から、10.5型のSurface Go 3は6万5780円からとなっている。
処理性能やOSが異なるため単純に比較できないが、Surface Duo 2の魅力はポケットに入るサイズで大きな画面を持ち歩くことができ、2画面によって仕事の効率を高められる点にある。シンプルで高級感のあるデザインと折り畳み機構を合わせて、人に見せたくなるスマホ、会話のきっかけにできるスマホとしても有用だろう。
(ライター 湯浅英夫、写真 スタジオキャスパー)
[日経クロストレンド 2022年3月11日の記事を再構成]
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